2016/06/09 第8回 無藤智恵美氏(ヨガインストラクター)『ヨガって何?瞑想ってなんですか?』(後編)

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理事長の小村をホスト役とした企画「対談すごトーク」。第8回目となるゲストは、ヨガインストラクターの無藤智恵美さんです。
⇒[前編]はこちら
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■瞑想は心のフィットネス

小村:突然ですが、瞑想って何ですか?

無藤:「心のフィットネス」みたいな感じですね。心のトレーニングとも言えますね。無になるというのは、そういう風に言われてしまっているから、そう思われているだけです。実は無とは何も考えないことではないのです。むしろ逆です。

小村:「心のフィットネス」のフレーズがいいですね。瞑想というのは無になることではないのですか?

無藤:いろいろな瞑想法がありますが、私がやっている伝統的な瞑想法というのは、4段階に分かれています。
① シュラバナ(聴聞):あるテーマについて聞く。
② マナナ(熟考):そのテーマについて考える。
③ ニディディヤーサナ(さらなる熟考):そのテーマをさらによく考える。
④ ギヤーナ(悟り):ここでは、気づき。いろんなテーマについて考え気づきを重ねると悟り行き着く。

小村:いろいろ考える。イメージをするということですか?

無藤:科学者がAを調べるために仮説を立て実験し考察する。ダメならまた仮説→実験→考察を繰り返しますよね、これを何回もやって結果を導き出す。これが科学的な方法です。ヨガの方法も一緒なんです。あるテーマについて自分で考えてみましょう。それをよく何回も考えて、ある日ハッと、こういうことだったのかと気がつく。悟りとは、いろんなテーマについて何回も何回も繰り返し瞑想を行った最後の段階を言いますが、私たちはそこまでは必要なくて、これを繰り返し、自己を成長させれば良いだけです。そうすれば幸せになれる。ですから瞑想は何も考えないのではなく、実は頭の中は考えている。身体は動いていないけど、頭の中は考えるという「気づきの瞑想法」なのです。

小村:気づきの瞑想法。なるほど。具体的な事例はありますか?

無藤:感情をコントロールする瞑想法というのがあります。自分が生きている中で様々な感情にとらわれています。何かしなければならない時に、その感情がコントロールできずにうまくいかないことがあります。自分自身の感情をコントロールできるようになるとイライラすることもなくなりますね。

小村:確かにそうですね。

無藤:自分がイライラしてしまったことを思い出してみてください。自分のどういう気持ちがイライラさせてしまったのかを思い出しましょう。そして相手がどうだったとかではなく、自分がどういうことだったのかをイメージしてもらいたいのです。

小村:はい。イメージをしてみます。

無藤:例えば、ある夫婦がいます。旦那さんが夜遅く帰ってきました。奥さんはすごくイライラしていて、旦那さんがタクシーで帰ってくると、奥さんは仁王立ちで待っているという状況です。もしその時に旦那さんが「遅くなってごめんね」と言って花束でも買っており渡すと、奥さんのイライラは解消します。奥さんは最初は飲みに行ってくるお金なんてどこにあるのとか、遅く帰ってきたら子供が起きちゃうじゃないと怒っていたのに、何かお土産でも買っていき、ごめんの一言があると奥さんの怒りがおさまってしまいます。それは奥さんの怒りというのは、お金を使ってしまうことや子供が起きてしまうことが原因ではなく、いつも旦那さんが夜遅く帰ってきて、旦那さんからの愛情が感じられなく寂しかったというところに怒りの原因があったことがわかります。

小村:本質のところですね。

無藤:それに気付けたら、奥さんは怒らずに寂しかったんだよねと気づけたかもしれないし、そこでケンカをせずに済んだかもしれない。こういうことは日々我々の生活の中にもあります。自分を常に客観視できれば、怒りや悲しみに対して、それに飲まれることなく自分で対処ができます。その解決方法のひとつが、私が扱っている「瞑想」というものです。

■ヨガの瞑想は客観的に意識化させる練習

小村:「瞑想」という言葉のイメージが独り歩きをしてしまっていますよね。メンタルトレーニングのセルフトークと全くイコールですよね。もう一人の自分と対話しなさいとか、客観的に自己対話をしましょうとか。今回話を聞いて「瞑想」がイコール関係であったことに驚きました。瞑想といえば座禅を組んで無になって何も考えず邪心を抱かないようにするというイメージでしたが、ヨガでいう瞑想というのは自分を客観視するために自分がどういう状況かを意識化させることであったのですね。

無藤:そうです。ヨガの瞑想は客観的に意識化させる練習です。意識化させると客観的になれる。感情的になってきたなと思ったら、いったん切って、その状況を瞑想してちゃんと観察をすると解決に導きます。たまに日常生活をしている時にふと脳裏に浮かんで「あの時ああいうことだったのか」と思い出す経験ありませんか。それも瞑想の段階です。「ああいうことだったか」という気づきがあり、気づきがあると意識するので人間としてもう一段階上がる。

小村:心は目に見えないもので、その目に見えないモノを扱っているメンタルトレーニングやコーチング、ヨガも、スピリチュアルも含め、見せているツールが違うだけで全て根本は同じですね。

無藤:アプローチが違うだけで、行きたい方向は一緒ですね。根本は同じなんです。それはそれぞれ皆が自分に合うものを取り入れればいいのであって、必ずしもヨガじゃなくてはいけないとか、メンタルトレーニングじゃなくちゃいけないというわけではないんです。

小村:日本では弱点を直せとか平気で言うのですが、人から直せと言われても、そう簡単にはなかなか直りません。なので、私がよくやる方法は、人から直せと言われていることは何であるのかを受け入れて、それを常に意識しておく、そうすれば、それをやってしまうような状況になった時に気を付けるようになるんですね。気づきがあって、意識をして、気を付ける。無意識を意識化させるというのを指導しています。私はヨガを全くやったことなかったのですが、同じですね。ヨガのイメージがものすごく変わりました。

無藤:そうでしょう(笑)

小村:無藤さんはアスリートもサポートしていらっしゃいますね。野球選手やサッカー選手、バスケットボール選手と大勢指導しています。先日、無藤さんがパーソナルヨガを担当している柔道の原沢久喜選手が、リオデジャネイロオリンピックの代表に選ばれました。おめでとうございます。

無藤: 原沢選手の実力です。彼にとってリオ五輪はほんの通過点です(笑) 原沢選手含めほとんどの選手が個別指導型でやらせていただいています。全て紹介でつながっている方々です。そのみなさんに対して、私と出会ってより良くなったと感じてもらいたいという思いで関わらせていただいています。

小村:スポーツ業界では人脈が大切とよく言いますが、信頼でき魅力ある人に紹介は生まれるものであると思っています。ただ名刺交換をしただけとか、自分をしっかりと表現ができていない人に紹介はありえません。紹介する方も紹介する責任がありますので、私は教え子たちに紹介される人間になろうと指導しています。無藤さんのオーラは何かやってくれそうな気がしますもんね。土台というか軸がしっかりしていると言いますか。

無藤:知識と経験を積むことが大事なのかなと思います。ヨガにとどまらない多くのことを経験するように意識してきました。あとは自分の人間力を向上させることと礼儀はしっかり! これが私のモットーです! あとは感謝の気持ちを常に持っています。

小村:無藤さんが魅力的なのは、常に進化するキャリアステップしており、自らで切り拓いていく行動力。そしてメンタル面も組み合わせたヨガの新しいスタイルを派遣型で提供していく、その姿勢ですね。とにかく好きなことを極めようとするスタンスですね。

無藤:好きなことをやるというのが第一ですね。一昔前までの社員研修、新人研修にヨガを取り入れていた企業はなかったと思います。しかし企業側の意見である新入社員の緊張をほぐす方法をヨガを取り入れてやりたいという声が生まれ、実際にやっています。新入社員研修にヨガがないからどうせできないと決めつけてアプローチをしないのではなく、自分の強みを企業研修でどういう形であれば活かせるかという、新しい仕事を作っていきました。こういう意識や行動が大切なんだと思っています。

小村:敬服です。

無藤:スポーツ業界を目指している皆さんも、まずはスポーツ業界にどんな形でも飛び込んで、いろいろ勉強して、その中で自分の新しい仕事を作り出すという意識を持ってチャレンジしていくことが、皆さんがやっていくべきことだと思います。

小村:新しいことを切り拓くというのを難しく考えている人もいると思いますが、無藤さんはどうお考えですか。

無藤:誰も参入していなかったところにアプローチをしたのは新しいことであったかもしれないですね。でもヨガも企業研修も既に皆さんやられていることです。つまり、全部新しいことをするのではなくて、何かと何かを繋げることで新しいことになるのです。私は、切り拓いているという意識はありません。必要なことを届けたいという気持ちだけで動いています。

小村:最後に今後の将来のビジョンはなんでしょうか。

無藤:ヨガを使って日本を明るくするという活動を更に広げていきたいですね。企業・学校・介護施設などにヨガ講師を派遣して、一人ひとりの人生をより良く感じてもらう。私自身もセミナーを通して多くの方々に良い影響を与えられたらいいなと思っています。
<了>

◆プロフィール◆
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無藤智恵美(むとう・ちえみ)
2002年 栄養士資格取得。2008年 オーストラリアに単身留学 全米ヨガアライアンスRYT300取得。帰国後、インドヨーガニケタン東京で学び、インド政府公認のインストラクターとなる(2009~)。2009年 大手ヨガチェーンで店長兼マネージャーを務める。2014年広尾にあるDeportare yogaの起ち上げメンバー・リーダーとして起用され、アスリートや政治家のパーソナルのヨガを中心に指導する。2015年4月からヨガワールド・トーキョーを起ち上げ、現在は有名アスリートの他にオフィス、学校などに訪問し、スポーツやビジネスシーンのためのヨガにとどまらず、より良く生きてもらうためのメンタルスキルを養うオフィスヨガの普及に努めている。

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