2016/07/23 第12回二見一輝氏(バルドラール浦安テルセーロ監督)&三澤敏氏(香川オリーブガイナーズ元フロント)『フットサル界・野球独立リーグの課題と展望』(後編)

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理事長の小村をホスト役とした企画「対談すごトーク」。今回のゲストは、バルドラール浦安テルセーロ監督の二見一輝さんと三澤敏さん(香川オリーブガイナーズ元フロント)です。
前編は⇒[こちら]

左:二見 右:三澤

左:二見 右:三澤

■Fリーグの課題

小村:二見さんからはフットサルはトップもほぼアマチュアチームであるため働きながら試合をしている選手がほとんどだと言っていました。四国アイランドリーグの選手たちの給与はどうなのでしょうか。

三澤:四国アイランドリーグの選手給与の規定が月10万円から40万円とあります。香川の選手たちも規定内の給与で生活していました。プロ契約ですので、サッカーのようにスクール講師としての副収入もありません。ストイックに頑張って早くプロ野球選手となり大きなお金を掴めということだと思います。

二見:いただけるだけ有り難いですよ。フットサルのトップは名古屋オーシャンズなど一部のチームを除き、バルドラール含め選手の収入はゼロ円です。昔は選手も給与が出ていた時期もありましたが、今はないです。運営資金としては、フットサルも親会社があってのチームというのは同じです。体育館は観客がたくさん入っても1700人が限界で、名古屋や近隣のチームで1000人超えるくらい、弱いチームが相手ですと1000人を切ってしまいますので、チケット収入は見込めません。また中学生以下を無料にしています。その理由はチケットで収入を得ることよりも、まずは会場を埋める。空席をなくす。ということを一番に考えているからです。

小村:日本のスポーツの大きな課題点が見えますね。独立リーグのように更に上に行けばお金が貰えるところがありますが、フットサルではトップになってももらえない。そうすると、二見さんが監督をしているテルセーロに所属している若いプレーヤーである彼らの夢は何ですか?

二見:テルセーロが発足した当時は全員がトップ選手になるという夢がありましたが、今は日本代表になるという夢を掲げている選手が多くなりました。もう一つは海外でプレーをしたいと希望する選手が増えています。実際にスペイン、ポルトガル、中国、ベトナムのチームに巣立った選手もいます。海外のチームに移籍をしても高額な年俸をもらえるわけではないのですが、衣食住付いて専用のコートがあるなど環境面はとても優れています。

小村:日本のフットサルは世界で強くなるというのを目標にしているのか、国内でフットサルを普及させることを目標にしているのかどちらなのでしょうか。

二見:そこが悩ましいところです。日本の中のフットサルの普及や強化なのか、国として世界に勝つというのはまた別の話であり難しいところです。例えば、ベトナムやキルギスなどアジアで強い国はどうなのかというと、ベトナムはタイソンナムFCという1チームだけプロ化されそのチームの9割の選手が代表としても戦っています。キルギスにいたっては国内プロリーグすらなく、アマチュアの1チームから代表選手9割も出ているのです。そして代表チームの監督もそのチームの監督だったりします。他国の強豪国のように代表を強くするのであれば、スポットを小さくして強化している国は強いです。Fリーグも色々なチームから呼んで徹底的に強化をしていけばいいのでしょうが、実際は日本の中でのフットサルの普及や強化であって、国として勝つというところとは焦点がズレているため難しいところです。

小村:やはり国内と国外とでは試合運びやプレー面などは違うのですか。

二見:実際にFリーグで戦うのとアジアで戦うのとは全く違うとされています。強豪国の選手はアジアでの戦い方を知っていますが、日本代表はFリーグで調子が良い選手が代表となりアジアで戦うことは初めてだったりします。戦い方を知っているのと知らないとではやはり差が出てきてしまうというのが現実です。国を強くするならば海外での戦い方も学ばねばならず、そうなると一転集中型となり、国内がおろそかになる。そのバランスが現在のフットサル界では大きな課題です。

小村:なるほど。Fリーグとして今後どうしていくべきか難しい問題ですね。四国アイランドリーグは4県が本拠地を置いてのリーグですが、香川県の県内のスポーツ事情はいかがですか。

三澤:日本一小さな県なのに香川県にはプロチームがたくさんあり、私がいた当時では香川オリーブガイナーズ、J2リーグ(サッカー)のカマタマーレ讃岐、bjリーグ(プロバスケットボール)の高松ファイブアローズ、アイスホッケーの香川アイスフェローズ、仙台に移転をしてしまいましたがバレーボールの四国Eighty 8 Queenです。香川県をホームタウンとして活動しているプロ・アマスポーツ競技団体の連携機関「香川プロスポーツクラブ連絡協議会」があり各クラブとの連携強化、チームを支援するボランティア「地域密着型スポーツチーム応援団 スポサポ香川」を展開しています。

小村:香川県民の子供たちの人気スポーツはなんですか?

三澤:それは圧倒的に野球ですね。四国は野球が盛んですので少年野球は人気です。次いでサッカー、そしてバスケットボールという感じでした。

■裏方業のやりがい

小村:現状を色々お伺いしてきました。三澤さんにとって球団スタッフをやって良かったと思うことは?

三澤:先にも話しましたが、自分が企画した内容や集客案が採用され、お客さんが来てくれたことは嬉しかったです。また、自分がチームをPRしたことによってガイナーズの試合に来てくれたというところですね。もちろん、私が関わってきた選手が今はプロ野球選手となり活躍している姿を見ると、自分も頑張らなければいけないなと思います。2016年センバツ春の甲子園大会(第88回選抜高校野球大会)では香川県から2校選抜されました。香川県立高松商業高等学校と21世紀枠で選出された香川県立小豆島高等学校。特に私は小豆島を担当していましたので、きっと私が企画した体験会・練習会に参加してくれた選手がいたと思うのです。このように間接的にでも接することができたことは嬉しいですね。元々球団で働きたいという夢もありましたが、自分が土台をつくっているというやりがいを得ることができたことが球団スタッフを経験できた誇りです。

小村:二見さんは若いこれからの世代の監督をしていますが、バルドラール浦安テルセーロ監督として今後の育成に対する気持ちをお聞かせください。

二見:バルドラール浦安は千葉県唯一のFリーグのチームです。千葉県を背負って全国リーグを戦っているプライドとか意識を持ってやることを常に言われています。練習や試合だけではなく、テルセーロの選手を連れてクリニックを行い、こういう選手が将来トップに上がるのですということを広く知ってもらう活動をしています。また千葉県全体のフットサルをいかに盛り上げていけるか、千葉県のリーグもより良いものにしなければならないのでリーグの運営の仕方や、千葉県のサッカー協会の仕組みも統一的なものにしていきたいと思います。具体的には、より上のレベルでやりたいという選手が出てくるように、千葉県の若い選手を中心に選抜チームをつくり、70名くらいの選手たちに参加してもらい、その中から選抜チームをつくり試合に出場できるという取り組みをしています。

小村:フットサル界の課題に対してはどう向き合いますか。

二見:現場面だけでなく、私が意識しているのは環境やリーグの運営の仕方などをより良いものにしていくことです。そうしないと選手が外に出て行ってしまいます。千葉県の仕組みが良く、より良い環境があれば、ここでやっていきたいという選手が増えると思うのです。私はそれを2015年から意識をして行動に移して取り組んでいます。バルドラールがプリメーロ、セグンド、テルセーロ、バセというピラミッドになっているように、千葉県のフットサル自体も年齢制限のないフル選抜、U23、U18という一本化した柱の環境整備をやっています。今後の抱負はテルセーロから、セグンド、プリメーロとトップを経て日本代表になる選手をこれからも輩出していきたいですね。

小村:一緒に仕事がしたいという人物像。また採用のポイントも教えていただけますか。

二見:会社に入って満足ではなく、中で何がしたいのかを見つける勇気。入ってから目的が変わってもいいと思える人です。そこの修正をうまくできれば経験とかも関係ないです。辛かったら辞めてしまう人が多いです。続けるのも辛いですが、次の改善につなげていけるとか、自分が思っていた方向とズレてしまった時に修正できるとかができれば続けられます。私は先方から、こういうことをやっていきたいから力を貸してくれがきっかけで入りました。それはたまたま人脈のご縁でタイミング良く声をかけられたわけですが、ただトレーナースキルだけを身に着けていただけではなく、ビジネスやマネジメント、育成など多義に渡って学び、活動をしていたからこそだと思います。あの時、マネジメントに引き込んでくれたのは小村さんのお蔭です。あの経験は今活かされているのですよ。そして小村さんから教わったのは「つながりの大事さ」。自分からガツガツ行かなくても、ポイントポイントで意識をすれば出会いは生まれる。シェアの広さ。見えなかったものを見せてくれた。アンテナを高くして貪欲にブレずに行動をしていれば見てくれている人はいます。

小村:二見さんだけでなく教え子たちに常々言ってきた損得勘定で勝手に判断せずに、まずは経験しようということ。今でも実践してくれて嬉しいですね。みんなやる前に勝手に自分に言い訳して壁を作ってしまう。もったいないですね。二人は脱サラしてでもやりたいという覚悟があったし、現状を捨ててでも飛び込む勇気は見習うべきところがあります。最後にスポーツ業界を目指している人へ一言ずつメッセージをいただけますか。

三澤:スポーツ業界は厳しい世界ではありますが、やりがいある世界でもあります。是非小村さんの基でしっかり学んでいただいて、スポーツ業界で活躍していただければと思います。

二見:スポーツ業界を目指している方へ、自分の思い、目標の部分の軸をブラさずにしっかり継続していれば、機会は必ず巡ってくると思います。一人で考えるだけではなく、小村さんをはじめ、いろいろな方々のアドバイスをもらいつつ、しっかり継続してそこに向かっての努力を続けてほしいと思います。すごラボは実現に近づけるひとつのツールであると思うので活用してもらうことをお薦めします。

小村:二人とも忙しいところ、ありがとうございました。
<後編・了>

◆プロフィール◆
misawafutami04
二見一輝(ふたみ・かずき)
Fリーグ バルドラール浦安 テルセーロ監督/千葉県フットサル連盟技術部選抜チーム担当/千葉県フル選抜U-23選抜監督。銀行マンを脱サラし、トレーナーの専門校に入り小村に師事。卒業後、Fリーグ バルドラール浦安に入る。トレーナーや運営、育成企画、監督だけでなく、フットサル業界の若手育成に手腕を振るう。2016千葉県選抜の監督として第3回全国選抜フットサル大会関東大会優勝(全国大会出場権獲得)。小村さんから学んだことは、「人とのつながりを大事にすること」「視野を広く持つこと」。

◆プロフィール◆
三澤敏(みさわ・さとし)
misawafutami03
四国アイランドリーグ 香川オリーブガイナーズ元フロント。大学卒業後、IT企業に就職し、在職中の2008年からスポーツマネジメントの勉強を始め小村に師事。2011年5月から、香川オリーブガイナーズ球団に転職。約2年間フロントスタッフとして勤務の後、球団を退職し、2013年4月よりIT企業に復帰し現在に至る。

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