2016/07/06 第11回 蔵本博之氏(フジテレビ スポーツ部)『信念曲げずに、諦めずに、自分で行動すると道が拓く』

理事長の小村をホスト役とした企画「対談すごトーク」。第11回目となるゲストは、フジテレビ スポーツ部の蔵本博之さんです。

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■奇跡の2週間で内定取得

小村:株式会社ヴィステック エンタテインメントでスポーツ映像事業部から、今年4月よりフジテレビのスポーツ部に所属している教え子の蔵本博之さんと「すごトーク」を行っていきたいと思います。蔵本さんは2014年の教え子で、2015年に学習院大学を卒業。私のところに来たのが既に大学4年生の時でしたから、ご自身でも就職活動をされていた時期でしたね。

蔵本:学生時代からも色々な球団やスポーツ関連会社にてインターンやボランティアスタッフとしてやっていたのですが、うまく就職できるまで進展せず、ヒューマンアカデミーのスポーツマネジメント講座に入り小村さんと出会いました。それが2014年の春でした。講座で勉強しながら、自力で就職活動をしていましたが、うまく行かず、あっという間に時間も過ぎて半年間の講座も修了。その後も小村さんからは相談にいつでも来なさいと言われていましたが、スポーツにこだわらずに様々な会社の就職活動をしていたので相談に行けませんでした。最終面接まで行っていた会社から内定がもらえず、途方にくれたのが卒業式も目前の2015年3月初頭でした。

小村:本当に超大ピンチな時に相談に来たよね。4月からニートになってしまうという状況だったものね。そこからミラクルを起こしていくわけですが、それまでの間の活動状況をもう少し詳しく教えてください。

蔵本:大学時代に文藝春秋で4年間アルバイトをしたり、雑誌の編集のインターンをやってきたこともあり、出版社や雑誌の編集の仕事に就きたいと思って、就職活動を行ってきました。またスポーツが元々好きであったので、スポーツのメディアなどにも興味がありました。

小村:出版不況なこともあるからなかなか新卒採用は厳しい実情だったよね。半年間の講座後も相談に乗っていくつもりだったのだけど、一時、私との連絡が途切れていたよね。

蔵本:なかなか自分でもどうしたら良いのか悩む時期でもありました。就職活動のほか、母親の体調が悪く面倒を見ていたということも重なっていたこともありました。気づいたら3月に入ってしまい何も決まっていないという状況でした。

小村:それで3月初頭に急きょ相談で来たという流れだね。そして、これ本当にタイミングが良かったのは、株式会社ヴィステック エンタテインメントの部長さんから社員候補者の急募の連絡があったばかりだったんだよね。幸いなことに蔵本さんの性格は把握していたし、メディア関連の仕事を求めていたし、できればスポーツ系ということだったから、まさにピッタリだと思ったね。なかなか空きが出る会社でもないしね。

蔵本:私の代で新入社員を7名採用しましたが、以前は採って1名のようですから、奇跡的でした。

小村:会社自体を大きくしようとしていたタイミングだったわけだ。内定辞退が出たのかわからないけど4月から社員で働ける人が欲しいという急を要する会社側からの相談と、翌月からぷー太郎になってしまう大ピンチの蔵本さんが偶然にも合致したベストタイミングだったね。普通であれば会社の採用は終わっているし、概ねの人は内定を得ている時期だから、この合致は奇跡的だね。

蔵本:小村さんから紹介してもらい、すぐに連絡をして、すぐに面接でした。二回目の面接が部長との面接でした。後日すぐに連絡があり4月からお願いしますと内定をいただきました。

小村:すごいね、この駆け足。3月中で私の相談からの紹介、面接、内定ととんとん拍子で決まってしまった。

蔵本:小村さんの相談・紹介から内定まで2週間で決まりました(笑)

小村:一年以上就職活動して決まらなかったのに、2週間という短期間で決まってしまったのね。これもスポーツ界ではよくある話だね。最も良かったのは、一般的にスポーツ業界では、すぐに人員が欲しいという場合、社員が急きょ退職をしたためそれを補填する目的で、その業務がすぐにできる人ということが多いです。しかし、ヴィステックの部長さんからお話をいただいた時、スキルはゼロから教えるからとにかく良き人材が欲しいというお願いでした。すなわち、スキルゼロでもOKということは新卒でもOKということです。けっこう珍しい依頼でしたね。

蔵本:ありがたい話でした。4月1日に入社し、仕事のスキルもゼロでしたが、3か月の試用期間を経て社員となりました。

小村:具体的に仕事はどういうことをやっているのですか。

蔵本:主にボクシングの映像制作です。平日は資料作成の下準備から、後楽園ホールで試合がある時は現地に赴き選手対応も行うなどの興行の進行をやっています。現場ではAD(アシスタント・デレクター)としてインカム付けて駆け回っています。

小村:興行は生放送だから一発勝負なところもあり、興行主との下準備から当日までの運営は大変そうだね。

蔵本:大変ですがけっこう楽しんでやっています。私はWOWOWのエキサイトマッチという番組を担当しており、日本でのボクシング試合の放送の場合は先に述べたように、興行をお手伝いするのですが、普段は主に海外のボクシングの試合を放送しています。小村さんに仲介してもらった部長は元帝拳ジムのボクサーであったご縁もあり、海外から帝拳ジムに届くボクシング映像を提供してもらい、WOWOWと相談をしながら放送する試合を決め、編集して持っていくと流れです。

小村:部長さんは元ボクサーだったのですね。ヴィステックはいろんなスポーツの映像編集をしているけども、ボクシングの取扱いが多い理由はそのつながりがあったからなのですね。蔵本さんは入社して一年間は主にボクシングをメインに関わってきたわけですが、何と2016年4月1日からはフジテレビに出向しています。大抜擢だね。

蔵本:フジテレビのスポーツ部に所属しています。始めはボクシングを基盤としながら、他の仕事も学び、他の競技にも携わっています。一緒に仕事をする人たちもガラッと変わりましたが、楽しんでいます。

小村:大ピンチから翌年にはフジテレビのスポーツ番組に携わるポジションに行くなんて考えられない歩みだね。社会人のキャリアを踏んだヴィステックの一年間を振り返ってみてどうですか。

蔵本:私は直属の上司に恵まれたと思っています。3歳上の先輩で年齢が近くて話しやすかったというのもあるのですが、その先輩はヴィスティックに入社して10年のキャリアがありやり手です。その先輩も仕事がめちゃくちゃ忙しいのですが、毎回気にかけてくれました。家も近かったこともあり飲みに誘ってくれたり、親身に応対してくれました。私はスキル面の知識が全くない上、ボクシングもまともに見たこともなかったため、全ての面で不安でしたが、その先輩のお蔭で仕事がやりやすくなりました。

小村:面倒見が良い先輩に恵まれたんだね。社内の人間関係は大事ですので、良いご縁だよね。今まで映像編集などやったことがないものね。ボクシング以外では何の競技をやっているのですか。

蔵本:サッカー、メジャーリーグ、ラグビー、フィギュアスケート、ゴルフ、卓球、少年サッカーもやっています。鹿児島県で少年サッカーの大会があったのですが、実際に鹿児島県に行きロケして編集しました。

■信念曲げずに、諦めずに、自分で行動すると道が拓く

小村:今はフジテレビで仕事をしていますが、長い目としての将来の夢はありますか。

蔵本:海外のスポーツを日本でもっと広めたいという夢があります。今、海外のスポーツを見ようとすると、WOWOWやJ SPORTSのように登録して毎月お金を払ってという手続きをしないと見られません。アメリカにはペーパービューというシステムもあります。前者は局と契約をしなければなりませんが、後者は各番組ごとです。その番組だけを見たい人が見る。そういう風にしていきたいなと思っています。

小村:なるほど。今はBSやCSなど、大元と契約を取り交わさねばその番組が見られないですが、アメリカのように全体を見渡すことができ、この番組を見たいと思ったら見てお金を支払うというシステムになっていくようにしたいということですね。

蔵本:私自身がそうだったのです。私はこの番組だけを見たいだけなのに、全部の番組を閲覧できる登録をしないと見られないという状況なのです。今の日本のシステムはそうであるため、番組を見たいけど全部は不必要だと思いなかなか登録が億劫になっている人も多いと思うのです。もっと好きな番組、海外のスポーツ番組が身近に見られる環境になれるように、そのようなシステム開発に携わりたいという願望があります。スポーツバーのようにスポーツ映像がもっと身近になる世の中にしたいと思っています。日本代表レベルの大一番の試合だけではなく、マイナースポーツや地域リーグも含めて、身近に映像が見られる環境があれば、様々なスポーツの普及活動にもつながると思うのです。

小村:今のキャリアを活かして、有名な競技だけではなく、様々な競技をもっと身近に見られる環境を作っていきたいということですね。身近に普及させたいというのは良いですね。今はインターネットやスマホでの映像配信もできる時代なので、今後はもっともっと身近になれる可能性は秘めているよね。

蔵本:そうです。未来はもっともっと発展するだろうし、それを実現するためにも人脈は必要です。もちろんスキルもですが、一番は現場経験ですね。私が一年間やってきて、現場のことがわからねば良い映像は作れないと痛感しました。

小村:蔵本さんの年齢は27歳だけど、まだ社会人二年目だよね。是非これからも業界でキャリアアップして、新しい子たちも育成してもらいたいですね。

蔵本:僕自身の就職活動がうまくいかず、どうしようかという状況で、人生に迷って、来月どうしようかというところまでピンチに追い込まれました。諦めかけていたところもありましたが、やはり本当に最後まで諦めずに動けばチャンスはあると思います。そのチャンスを逃さないと言うか、見つけ出すと言うか、それが必要だったのかなと僕は思いますね。最後まで諦めない。就職というのはご縁でありタイミングですね。

小村:自分が動いたことがそのご縁を掴み取ったというのもあるじゃない。諦めそうになった時に、動いて私に声をかけてくれて、ご縁が生まれて、今につながっているわけだしね。

蔵本:何事にも行動すれば道が拓けるじゃないですけど、僕がずっと思っていることがあります。それは何事もやってみないとわからない、自分で体験しないとわからないとずっと思っています。人の意見やメディアの意見に左右されるじゃなくて、気になるなら自分で体験してみるべきだと思っています。

小村:素晴らしい良いメッセージだね。多くの人が行動をする前に勝手に自分で決めつけて、ブレーキをかけてしまう人が多いよね。

蔵本:メディアが発展し、事前情報が掴みやすい環境だからこそ、ブレーキをかけてしまうことも多くなってしまったのだと思います。

小村:今はネットを叩けばすぐに情報は手に入ってしまうし、その場にいかなくてもネットで見られる世の中になってしまいました。何でも情報に囲まれ過ぎてしまっているからこそ、自分が動かない人が多くなってしまい、自分の判断でなく決断を下す人が多くなってしまったのかもしれないね。ちゃんと自分で行って自分の目で見て体験してみないと、感じることができないと実際はわからないよね。映像や情報に踊らされるなって、映像関係者が言うと説得力があるよね(笑) 最後にスポーツ業界を目指そうとしている後輩へメッセージをお願いします。

蔵本:自分のやりたいことを信念曲げずに、諦めずに、自分で行動することが大切だと思います。がんばってください。

◆プロフィール◆
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蔵本博之(くらもと・ひろゆき)
2014年総合学園ヒューマンアカデミー・スポーツマネジメント講座を通して小村と出会う。2015年3月学習院大学卒業。同月まで就職活動0勝。同月に半年間の音信不通を経て小村に相談をしに行く。株式会社ヴィステック エンタテインメントを紹介され、二週間という短期間で内定を得る。4月新卒として入社し、スポーツ映像事業部に配属。主にボクシング映像編集・興行の業務に就く。仕事が認められ2016年4月よりフジテレビ・スポーツ部に出向、配属。

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